
H&Mが使用している素材 | H&M
素材
新しい衣服の生産は、使われている素材にかかわらず、地球に影響を与えています。それでも、素材の選択によって大きな違いが生まれます。H&Mのような規模のブランドにとって、私たちの選択と行動が繊維業界を大きく変える可能性があることを意味します。お客様のみなさんは、十分な情報を得た上で何を買うべきかを判断することができます。ここでは、H&Mの衣類やファッション小物によく使用する素材についてご紹介します。

コットン
コットンは柔らかく通気性の良い天然素材です。しかしその加工には、地球にとっても人間にとっても問題が伴うことがあります。コットンがどのように栽培され、どのような条件で収穫され、栽培と加工にどれくらいの水の量を使用するのかなどは、すべて重要な要素です。

私たちの素材のおよそ60%はコットンでできており、以下の3つのカテゴリーに分類されます:
リサイクル・コットン
私たちのコットンの11%は、古いテキスタイルや生産工程で余った素材(繊維に細断され、新しい糸に紡がれ、新しい生地に織られたもの)からリサイクルされています。私たちのリサイクル・コットンはすべてトレーサビリティによって追跡が可能で、その工程は第三者機関によって検査されています。
オーガニック・コットン
私たちのコットンのおよそ12%はオーガニック・コットンです。合成化学物質を使用せず、遺伝子組換え種子(GMO)を含まない方法で栽培されています。H&Mは、世界有数のオーガニックコットン使用企業です。私たちのオーガニック・コットンはすべてトレーサビリティによって追跡が可能で、その工程は第三者機関によって検査されています。
ベター・コットン
残りのコットンは、ベター・コットン(Better Cotton)を通じて調達されています。ベター・コットンは非営利団体で、綿花生産者が農場と地域社会の両方において、経済的、環境的、社会的に長期的な利益をもたらす農法に転換できるよう支援しています。
この種類のコットンは「マスバランス方式」によって調達されています。つまり、ベター・コットン農家のコットンは、製造工程で従来のコットンと混ざる可能性があります。そのため、このプログラムを通じて調達されたたコットンは物理的にトレースすることはできません。ベター・コットンを通じてコットンを調達することで、ベター・コットンのトレーニングがより多くの農家に行き渡り、より大きな影響を与えることを可能にする世界的な取り組みに貢献することができるのです。

すべてのコットンがオーガニックでないのはなぜですか?
オーガニックコットンの世界的な需要は現在の供給量を上回っており、オーガニックコットンの生産を拡大するには時間がかかります。H&Mグループは「オーガニックコットン・アクセラレーター」と呼ばれる業界イニシアチブの創設メンバーです。このイニシアチブは、農家がオーガニックコットンを収益性の高い形で栽培できるよう支援し、地元市場向けの綿花種子の品質向上を目指すとともに、イノベーションを通じて供給体制とオーガニックコットンの信頼性をさらに強化することを目的としています。

リネン
リネンは亜麻植物から作られる、柔らかく、丈夫で、通気性のある天然素材です。亜麻は弾力性があり、痩せた土地でも育ち、従来の綿花よりも生産に使う水の量が少ないことが特徴です。

ポリエステル
ポリエステルは化石燃料に由来する非常に耐久性のある合成素材です。スポーツウェアの素材など、一部の衣料品にポリエステルを使用しています。全体として、H&Mが使用する素材の23%がポリエステルです。そのうちの78%はリサイクルされています。

ポリアミド
ポリアミドは丈夫で伸縮性のある素材で、下着やタイツ、アウターウェアによく使われます。ポリエステル同様、化石燃料に由来する合成素材です。H&Mが使用するポリアミドの17%はリサイクルされています。主に古い漁網やカーペットなどの素材や、生産時に出る副産物から調達されています。

ビスコース
ビスコースは再生セルロース繊維で、通常は木材から作られますが、農業副産物、消費者副産物、工業副産物など他の原料から作られることもあります。 H&Mが使用するビスコースの76%はLivaeco™とLenzing Ecovero™です。これらは従来のビスコースに代わる商標登録されたビスコースです。これらの繊維は、厳しい環境・社会・経済基準に従って管理されている独立認証森林から供給されています。

リヨセル
ビスコースと同様、リヨセルはセルロース繊維です。H&Mは主にTENCEL™リヨセル繊維を使用しています。この繊維は丈夫で耐久性があり、吸湿性により自然なドライ感を保ち、自然な柔らかさがあります。TENCEL™リヨセルはレンチング社(Lenzing AG)の商標で、使用した水と化学物質の99.8%を再利用する工程を経て製造されています。

ウール、レザー、ダウン、その他の動物由来繊維
Responsible Wool Standard(レスポンシブル・ウール・スタンダード)* はTextile Exchangeが所有する認証制度で、認証農家は動物福祉、土地の保全、労働条件の基準を満たす必要があります。責任ある方法で調達されたウールを使用したH&Mの製品には、RWSラベルが付いています。
H&Mが使用するダウンは、すべてリサイクルされたもの、または Responsible Down Standard(レスポンシブル・ダウン・スタンダード)*の認証を受けたものです。2025年末までには、すべてのダウンをリサイクル素材に移行する予定です。
カシミアのほとんどは、Good Cashmere Standard®(グッド・カシミア・スタンダード)*を通じて調達されています。この基準は、Aid by Trade Foundation(エイド・バイ・トレード財団)によって運営されており、動物福祉、土地管理、牧畜民の労働条件に関する要件を定めています。
また、H&MはLeather Working Group(レザー・ワーキング・グループ)のメンバーであり、レザー製品の83%はクロムフリーなめしの革を使用しています。


マテリアル・イノベーション(素材革新)
素材におけるイノベーションは、ファッションの未来において重要な役割を果たすものであり、H&Mは新しいアイデアを支援するために積極的に取り組んでいます。私たちの願いは、ファッション業界全体の利益のために、これらのアイデアを拡大する手助けをすることです。以下のイニシアティブは、H&Mグループ・ベンチャーズが共同所有、または投資しています。
Syre: 繊維から繊維へのポリエステル・リサイクルの拡大を目指しています。これは、主にペットボトルを原料とする従来のリサイクルポリエステルに比べて、より資源効率の高いものです。
Galy: 実験室で栽培されたコットンを生産しています。これは、環境負荷の大きい従来型コットンへの依存を減らす可能性のある画期的な技術です。
Ambercycle: 使用済み繊維製品の繊維を分離し、新たな原材料を作ります。
Infinited Fiber: 繊維製品の副産物を「Infinna(インフィナ)」と呼ばれる新しい繊維に変えます。Infinnaはコットンのような柔らかく自然な風合いを持っています。
Colorifix: 有害な化学薬品を使わずに繊維を染色する、生物学的プロセスを開発しました。
